2010年5月2日日曜日

引越しの準備がただただ面倒くさくて死ねる。

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引越しッ。
怖いなぁ。めんどうくさいなぁ。

知ってる町ならいざ知らず、本当に土地勘ないんだ。
古本屋でるるぶとか買ってみたけど、何年か前ので、
情報が古い。

怖い人たくさんいるかなぁ。
野良犬とかいたら怖いなぁ。
見たことのないカラフルな虫とか沸いて出たら嫌だなぁ。
なんでこんなに不安なんだろう。
生活していく自信が持てない。


引越し先がマンションの場合、
最近は引越しの挨拶に行かないらしいです。
挨拶なんかしたら逆に物騒らしいって聞いて、
なんか背筋が凍る思いです。

とはいうものの、本当に新居の近隣に挨拶しなくていいものだろうか?
謎だ。



ティッシュ1箱とかカルピス一本とか一部屋に対して持っていってさ、
向いと、隣と、上と下と。
「あの、xxx号室に引っ越してきた味噌maxですけど」
「メ↓ソモッ↑コス?」
「いや、みそまっくすです」
「メ↑ソモッ↓コス?」
「いや、みそまっくすです」
「メソモッ↑コ↓ス?」
「いや、みそまっくすです」
みたいな。

で、挨拶に行くと六本木朱美さんみたいな人が出てくるのね、めぞん一刻の。
別に好みじゃないし、今後も関わりあわないんだけど、ちょっと色っぽくて、
なにやらドキドキするなぁ新生活、みたいな。


夕飯時、その六本木さんが訪ねてくるわけ。
「あのすいません晩御飯を調理中なのですが揚げ油を切らしてしまって。
油を貸していただけないでしょうか?」
で、次の日も次の日も油を借りに来るわけ。
もちろん揚げ油。返しにこないわけ。
で、ある日、不審に思った私は、
油を借りた六本木さんの後をつけてみるわけ。

隣家にも関わらず、こんな場所あったかなという野放図な竹林の中、
その六本木さんの家があって、驚くほどのあばら家。
昼なお暗いその家に恐る恐る近寄ってみると、
障子の向こうに人影。
ぺちゃ......ぺちゃ......ぺちゃ......
どうやら油を舐めているようだ......

ぺちゃ......ぺちゃ......ぺちゃ......
昼にもかかわらず唐突に気温が下がる。
さっきまで汗ばむような陽気だったのに。
ぺちゃ......ぺちゃ......ぺちゃ......
「ミテミヌフリデカエレ」と脳裏に本能からの命令が下る、
どうしてだろう私は、
その油を舐めているであろう六本木さんの姿を確認しようとしている。

障子越しに見える六本木さんの影が以前により首が伸びている気がする。
油で満たされているにしても、
顔を突っ込まずに鍋の油を啜れるほどに舌が伸びている。
障子越しにでも逆立つ後れ毛が確認できる。
不自然にデフォルメされたようなシルエット。
でも、自分の意に反して障子を開けようとしている手を止められない。
すえた獣の匂いが漂う。

ぺちゃ......ぺちゃ......ぺちゃ......
その障子を開けてはいけない。
ぺちゃ......ぺちゃ......ぺちゃ......
そう思いながら、私の手が障子にかかる。
ぺちゃ......ぺちゃ......ぺちゃ......
冷や汗なのか脂汗なのか。
私の着物を湿らす。

「アケテハイケナイ」という意識が歯止めをかけていた障子を開ける筋力が、
その堤防を破り押し寄せる波のように、思いもよらぬ勢いで障子を開けてしまった。
ゾクッ。
体感温度が急速に下がり、吹雪の中にいるようだ。身体の自由が効かない。
そして、障子の向こう、腐りかけた畳の上で、
六本木さんと認識していた物体が振り向く......


獣の骨格、獣の声帯で、無理をして人語を発したのだろう。
不自然なイントネーションで、うなるような声が響く。
「ア・・・ブ・・・ラ・・・・・・カ・・・シ・・・テ・・・・・・カ・・・エ・・・ス・・・カ・・・ラ・・・・・・」




なんてことがあるかと思うと、引越しが怖い。
引越しの準備すら怖い。というかめんどうくさい。

という我ながらよくわからない現実逃避をしつつ、酒を飲んで、寝る。
なんかさっきから部屋が寒いな。冷房つけっぱなしだったっけ?
 
 
 


 

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